ローカルLLM導入、どの補助金を使いますか？
オンプレミス型AIの導入に活用できる主要な補助金の最新情報と、審査を通過するための申請ポイントをインタラクティブに解説します。
（2025年10月31日 現在）
主要補助金の比較
現在利用できる主要な補助金の特徴と最新スケジュールを比較します。関心のある補助金を選択して詳細を確認してください。
中小企業省力化投資補助金（一般型）
ハードウェア＋ソフトウェアの一体導入に最適な、現在最も有力な補助金です。
最大 1億円
新事業進出補助金
ローカルLLMを活用して「新規事業」を立ち上げる場合に最適。準備に良いタイミングです。
最大 9,000万円
ものづくり補助金
革新的なサービス開発や生産プロセス改善に利用できます。次回公募の準備期間です。
750万〜4,000万円
ローカルLLM導入のための事業計画書ガイド
採択される計画書には共通点があります。審査員が最も疑問に思う「なぜクラウドAIではダメなのか？」という問いに答えるための、3つの必須ポイントを解説します。
事業計画書で、以下のいずれかの理由を具体的かつ強力に説明する必要があります。
🔒【最強の理由】機密性・セキュリティの確保
（悪い例）： 「セキュリティのためにローカルLLMが必要です」
（良い例）： 「当社は顧客の設計図面（またはカルテ、契約書、個人情報）を日常的に扱う。これらの機密情報を外部のクラウドAPIに送信することは、当社のセキュリティ規定および顧客との契約（NDA）上、絶対に許可されていない。したがって、データを一切外部に出さないオンプレミス環境が必須である」
📚【技術的な理由】独自データのファインチューニング
（良い例）： 「当社の過去30年分の製造日報、技術マニュアル（数TB規模）をファインチューニングし、業界特有の専門用語に対応したAIを開発する必要がある。これは汎用のクラウドAIでは回答できず、データを転送して学習させるコストも非現実的である」
⚡️【コスト・速度の理由】応答速度（レイテンシ）とコスト
（良い例）： 「工場の生産ラインにおいて、AIによるリアルタイムの異常検知を行うため、API通信の遅延（レイテンシ）は致命的となる。また、1日100万回以上のAPIコールが想定され、クラウドAPIではランニングコストが月額数百万円に達する。初期投資はかかっても、ローカルLLMで運用する方が2年以内に投資回収可能である」
「とりあえず高性能なサーバーが欲しい」と見なされると不採択になります。
（悪い例）：
「AIのために高性能なGPUサーバー 1台 800万円」
（良い例）：
「導入するLLM（Llama 3 70Bモデル）を実用的な速度（xx トークン/秒）で動作させ、同時に20人の従業員がアクセスする負荷に耐えるため、ベンダーと協議の結果、NVIDIA H100 GPUが最低4基搭載されたサーバー（XXXモデル）が不可欠である。この見積額は800万円となる」
申請する補助金の目的に合わせて、LLM導入の「効果」の書き方を変える必要があります。
| 補助金名 | 補助金の目的 | ローカルLLM導入でアピールすべき効果 |
|---|---|---|
| 省力化投資補助金 | 人手不足の解消 |
【省力化効果（数値化）】 ・「ローカルLLMによる日報・報告書の自動作成で、全従業員の事務作業を月間200時間削減する」 ・「社内規定に関する問い合わせ対応をAIが自動化し、管理部門の2名分の業務を代替する」 |
| ものづくり補助金 | 革新性・生産性向上 |
【革新性・優位性】 ・「ローカルLLMに過去の設計データを学習させ、新製品の設計検証プロセスを開発する。これにより開発期間を30%短縮し、競合他社に対する優位性を確立する」 |
| 新事業進出補助金 | 新規事業・新市場 |
【新規市場の獲得】 ・「機密性を担保したローカルLLMを活用し、これまで参入できなかった医療分野（または法務分野）向けのAIコンサルティング事業を新たに立ち上げ、3年後に売上1億円を目指す」 |
次のステップ
補助金の活用に向けて、具体的な行動を始めましょう。
目的の再確認
導入目的が「省力化」「革新性」「新規事業」のどれに最も近いか確定してください。
ベンダーの選定
ハードウェア（サーバー）の選定と見積もりを、複数のベンダーから取得してください。
スケジュールの決定
「省力化投資補助金」または「新事業進出補助金」を第一候補に、計画書の作成に着手してください。